お久しぶりです。約1ヶ月間多忙でブログの更新が出来ておりませんでした。その間に医学生として学んだ最新の専門医制度の話を今回はしたいと思います。新専門医制度が2017年から始まり、以前どうだったのか私も細かくは分かりませんが最新の情報を簡単に書いていこうと思います。
専門医とは?
まず専門医と言われても一般の人はよく分からないと思います。専門医は診療科ごとに決まっており、簡単に言えばその診療科のスペシャリストということになります。新専門医制度では19個の基本領域があり、従来の18個に加えて「総合診療科」というのが加わりました。
このように様々な診療科を初期研修後に選びそのプログラム(3〜5年)を終了することで専門医と認められるようです。
専門医のサブスペシャリティ とは?
基本領域は19個なわけですが、もう少し分類が必要なことがあります。一番分かりやすいのが内科で、内科と言っても消化器内科、循環器内科、腎臓内科というようにさらに分かれているのです。このような基本領域がさらに分化したもののことをサブスペシャリティと言います。サブスペシャリティは2018年5月の段階では22個あります。
サブスペシャリティというのは診療科を細かく分けるものなので今後も増える可能性はあるようです。ただとりあえずはこのように区分されています。
後期研修については以下の記事でも紹介しているので診療科の決まり方を知りたい方はそちらもご覧ください。
医学生からみたオススメの診療科は?
こういう質問を研修医の先生やその上の先生にすることが私自身あるのですが、先生ごとに色々なことをおっしゃるので正解がある訳ではありません。そういう前提で聞いた話をしていきます。色んな意見もあるのでそういう意見もあるんだなくらいに考えて頂ければ幸いです。
QOLの高い診療科
診療科を決める上で最近多いのがQOLの高い診療科を選ぶということです。診療科によってQOLがどのくらい違うのかっていうのをまずは話していこうと思います。
医者なんて何科に行っても大変だなどという人がいるはいるのですが、病院実習などをしていてもそんなことはないというのが正直な印象です。診療科によってどういう特徴があるのかを話していこうと思います。
内科と外科の違い
そもそも病院見学をしていて一番感じるのは、内科は科にもよりますが座ってやる仕事が多く、逆に外科は手術を立って行う場合がほとんどであるため立っている時間が長いです。そのためただ見学していてもやはり外科は大変そうだと感じることが多いです。しかも外科は科によりますが大手術になると10時間以上かかる手術も普通に行われているためやはり大変だと感じる部分も多いです。
そのため外科に行くためにはまず長い間立っていられないとなかなか難しいのではないかと感じます。
では内科の方が必ず楽なのかと言われればそういうわけでもないです。外科は手術をしていればいいという部分があるのに対して内科は病棟での管理がかなり大事になります。それもあって自分の患者さんに急変などがあった場合休みの日でも呼び出されることがあるためそういう意味ではゆっくり休める日のない診療科もあります。
以上をまとめると外科は仕事のある日は大変な場合が多いが休みはしっかり取れるイメージで内科は普段の仕事は座ってする仕事が多いが休みの日でも呼び出される場合が多いためゆっくり休めないイメージです。
QOLの高いと言われるマイナー外科とは
医学部ではマイナー外科が楽だと言われることが多いですが、そもそもメジャーとかマイナーの定義が分かりづらいですよね。
基本的にメジャー外科というのは専門医の19基本領域の外科にあたるものです。さらにサブスペシャリティとして消化器外科、呼吸器外科、小児外科、心臓血管外科、乳腺、内分泌外科に分かれています。こういった診療科がメジャー外科と言われます。
しかし外科的なことをする基本領域は他にもあり整形外科や形成外科や脳神経外科は外科とついているので外科なんだろうということがわかると思います。さらには眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科といった科も手術をする診療科であるためマイナー外科に含まれます。
このようなマイナー外科の場合は確かに手術はあるものの短時間で終わる手術が多かったり開業しやすいというものが多いためQOLが高いと言われることが多いのです。
特に眼科は開業医でもできるような簡単な手術も多く、コンタクトレンズや花粉症などからの需要もあるため開業しても利益が出やすい診療科であるため人気が上がっているわけです。ただしあまりにも増えているため将来的には余るのではないかという不安もあるようです。
それに対して脳神経外科などは開業医もあるものの、大変な手術も多いため楽とは到底言えない診療科であるためQOLが高いとは言えないでしょう。
内科の中でもQOLの高い診療科とは
内科は先ほど書いたように休みの日の呼び出しのあるような診療科もあるため、そういった呼び出しのない診療科つまり急変のないような診療科がQOLの高い診療科と言えるでしょう。
内科の中では循環器内科や消化器外科はやはり大変と言われることが多いです。それに対して例えば糖尿病内科などでは入院患者なども少なく急変もないため9時5時で帰れる診療科と言われることも多いです。もちろん病院によっても雰囲気が異なるため絶対ではないと思いますが仕事もじっくり座って考えることが多いためQOLが高いと言われることが多いようです。
内科以外では皮膚科や精神科といった診療科も手術が少なく、呼び出しもないQOLの高い診療科と言われることが多いです。
このような診療科に関しても言えることとしてとにかく人気が急増しているということです。糖尿病内科や精神科は医師の人数が最も増えている診療科であり、皮膚科については女性の割合が最も高い診療科です。皮膚科、精神科、眼科、耳鼻咽喉科の4科は現時点でも過剰という結果が厚労省の調査でも出ているのです。
それ以外の働きやすい診療科
麻酔科というのも最近働きやすいと言われる場合が多く増加している診療科の一つです。麻酔科の場合は開業は出来ないものの、バイトの給料が最も高いようです。そのため実力がつけばフリーランスの麻酔科として働くことができるようになり、そうなればかなり高い収入を得られるようになるようです。
また仕事についても手術中の麻酔を担当することが多いわけですが、手術中は座っていられるし見ててもあまり大変そうではありません。そういう意味でも人気が上がっている診療科の一つです。
給料の高い診療科
給料の高いといっても病院ごとにも給料は大きく異なる上に診療科ごとの給料の差のない病院もあったりもするため一概にこの診療科の給料が高いなどとは言いづらいのですが一つ給料が高いと言われる診療科があります。それは美容外科、美容皮膚科などの自由診療を行う科です。
そういう美容系につながる診療科として形成外科になるという人も最近すごく増えているようです。美容系の診療科に関しては急な呼び出しもない上に給料も普通の医師の倍以上もらえることが多いため最近急増しているのです。
自分の興味のある診療科
自分の好きな診療科に行くのが結局一番だという先生もかなり多いです。つまり、例えば子供が好きであれば小児科や命の誕生に関わりたければ産婦人科などが分かりやすいです。ただ正直一生していく仕事であることを考えると仕事と生活のバランスなども考えたくなりますよね。
最新の診療科「総合診療科」とは
総合診療科は新専門医制度で新たに追加された基本領域です。
総合診療医とは簡単に言えば医療が細分化されていく中で広く見ることの出来る医師の需要が上がっています。例えば田舎の病院で珍しい病気のスペシャリストが必要かと言われればそうではないのです。それよりもどんな病気でも広く診療することが出来て、必要に応じて各専門家に紹介するということのできる医師が求められているわけです。
田舎に限らず都会においてもかかりつけ医を持つことが最近勧められています。今でも大きな病院の方がいざって時に安心だと大病院へ行きたがる人が結構いるのですがあまりそれは良くないと言われます。大病院は重症の患者さんを診る場なので、クリニックでも見ることができるような疾患の場合は地域のクリニックで診てもらうようにするべきだと言われています。
実際クリニックからの紹介状があった場合は大きな病院に優先的に入院することが出来ますし、重症ではない場合はかかりつけ医にかかるべきなのです。
ただし、実際普通の内科クリニックではどういうことを専門としているどういう先生かなかなか分かりづらいのが現状です。循環器内科の先生にお腹痛いということで行ってもいいのかとかわかりづらいのです。そういう意味で患者数が多い疾患を全体的に診れる医師が求められるのです。
また、在宅医療や訪問診療というような新たな医療の形が現在需要が高まっています。そう行った地域の医療を行う医師という意味で総合診療医というのが作られたのです。
ただ、新専門医制度が始まってから初年度は184人、2年目が179人と人数が伸び悩んでいるのが現状です。その一因として考えられるのは今までそういうような全体的な診療は内科の先生がしてきました。内科の専門医にも総合内科というのがあり、その上で自分の専門の分野を作った方がいいと考える人が多いからだと思います。
総合診療と総合内科の違いは総合内科はあくまで内科なのです。総合診療科は小児科や外科的な部分も含めるのです。また必要に応じて、整形外科、眼科、耳鼻科、皮膚科的な診療も含めて行えるような研修制度が行われることになっています。各診療科の基本的な診療を行うことが出来て、必要に応じて各専門家に紹介できるまさにかかりつけ医という存在になり得るのです。また総合診療科の研修には小児科の研修も含まれるのです。これからは小児科のいない地域で子供でも見ることが出来る先生として総合診療医の需要が高まる可能性もあるのです。
まだ始まったばかりの診療科なので総合診療医というのはまだ存在しません。これからそういう医師が出てくるということを一般の方にも広く知ってもらえたらなと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回はオススメの診療科と総合診療科について書きました。これからの超高齢化社会を見据えた医療制度の改革が進められているのです。自分もそういう社会でどういう役割を果たせるのか考えていこうと思っています。
ただやはりQOLの高い診療科も魅力的ですよね。これから医師を目指す方は色々な診療科を知って決めて頂ければと思います。
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