こんにちは、未だに新型コロナウイルスの影響でお休みが続いています。暇な時間も多いので今日は今学生の間でとても人気な診療科である糖尿病・内分泌・代謝内科についての話を書いていこうと思います。
将来医師を目指しているが、診療科はまだ決まっていないという人に読んで欲しいのですが、過去にも各診療科の給料やQOLなどをまとめた記事は以前に書いたことはあるのでそちらの記事も参考にしてください。
今回はその中でも特に人気の高い糖尿病内科はおそらく医学部に入るまではあまり知らない人すら多いと思うんですが、すごく今人気が上がっているんです。その人気の理由を今回は深掘りしていきます。
糖尿病・内分泌・代謝内科とは
糖尿病内科とは言っていますが病院によって名称は様々です。多くの病院では糖尿病・内分泌内科というような感じで、糖尿病を内分泌疾患の1つとして扱っている病院が多いのではないかと思います。医師に関しても糖尿病専門医と内分泌専門医というのが別に用意されてはいますが、両方の専門医を取っている先生も結構いるのです。
つまり糖尿病・内分泌内科というのは糖尿病を中心として、甲状腺疾患や副腎疾患などの内分泌疾患を含めて治療する診療科なのです。
糖尿病内科が今人気の3つの理由
上のグラフは各診療科の医師数の推移を表したグラフです。明らかな糖尿病内科の増加がわかると思います。
もちろんこれは診療科名の定義によるところもあるのですが、少なくともここ数年でかなり急増しているのが糖尿病内科なのです。実際に糖尿病患者も急増しているので需要が高まっていると言う理由はもちろんあるのですがそれ以上に糖尿病内科になりたい医師も多いのです。
ある市民病院の院長の先生も漏らしておられましたが、最近は内科の医師を募集しても糖尿病内科の女医ばかり集まるというようなことを言っておられました。もちろん田舎は内科医師不足なのかもしれませんが、都会の糖尿病内科の医師は内科の中では結構多いのかなと思います。
にも関わらず今学生の間でも糖尿病内科はかなり人気なのです。その理由を書いていきます。
QOLが高い
QOLをなかなか数字で示すのは難しいのですが、1つのQOLの高さを表している指標が女性医師の割合です。こんなことを言うと女性でも産婦人科など大変な診療科にも多いと反論されそうなので、あくまで参考にしてください。(QOLを知るためには実際に働く先生に話を聞くしかないし、ポリクリに行けば大体わかります)
女性の割合が高い診療科として有名なのは皮膚科、眼科、麻酔科ですが糖尿病内科に関してもかなり女の先生が多いです。特にこの男女比というのは医者全体の数字なのでそもそも女医の少なかった一昔前も含めているわけなので最近の若い先生の割合でいうともっと女の先生の割合は高く感じるくらいです。
ただ糖尿病内科に女の先生が多かったのは昔からのことで、昔は男の先生には循環器、消化器が人気があり、糖尿病内科はあまり人気がありませんでした。そんな中でも女の先生には昔から働きやすいと言われていた糖尿病内科が人気でした。
QOLが高いとはどういうことかというと緊急の患者が少なく、立ちっぱで長時間の手技もなく、さらには被曝もほぼないということが言えるのではないかと思います。
糖尿病内科の患者のほとんどは糖尿病の患者さんで治療は基本的にはインスリンの注射あるいは内服薬ということなので手技は少ないのです。しいて言えば内分泌関連の甲状腺エコーくらいなのではないかと思います。
また糖尿病で入院となることはなかなかありません。つまり糖尿病内科診療の中心は外来なのです。そのため、なかなか時間外に入院患者に何かあるというような緊急も少ないので呼び出しも少ないと言えるでしょう。
以上のことから労働時間も短く、その労働中に関しても働きやすいということで昔から女の先生、最近では男の先生にも人気が高まっているのが糖尿病内科なのです。
お金を稼ぎやすい
お金を稼ぎやすいと言っても糖尿病内科の医師だけ給料が高いというわけではありません。
むしろ糖尿内科の医師は多いのであれば常勤の医師の中にはむしろ低い年収の求人も多いのではないかとすら思えます。
しかし何度か話したことがあると思いますが、医師の世界の変なところがバイトの給料の方が常勤の給料より高いのです。そのため例え常勤の給料はそんなに高くなくても労働時間が短かったり、休みがしっかりあるような診療科の方がその時間にバイトに少し行くだけでも合計するとそっちの方が給料は多いということになるのです。特に現状内科のバイト先というのはたくさんあるため、バイトを増やすことで稼ぎやすいのです。
開業しやすい
医師を目指す人の中には開業を目指す人も結構いるのではないかと思います。その中でも糖尿病内科を専門とすると開業しやすいと言われます。
実際に最近開業件数が1番増えているのが糖尿病内科なのです。ではなぜ糖尿病内科の開業数が増えているのでしょうか。
簡単に理由を解説すると、内科で収益を上げる方法は多くの新しい患者さんを集めることではなく、同じ患者さんに長い間通院してもらうことだからです。
糖尿病は悪くならないようにすることは出来ても完全に直すことは出来ず、ずっと薬を飲んだり、注射を続ける必要があります。そのため糖尿病内科の患者さんは長く通院し続けるのです。
さらには診療報酬の点数的にも糖尿病内科は優遇されています。その理由は糖尿病が悪くなって透析になるというのが一番お金のかかることなのです。そのため糖尿病内科は透析にならないように頑張ってもらうために診療報酬的に優遇されているわけです。
まとめ
僕自身も糖尿病内科のポリクリに行った時は今書いたようなことをほとんど知らなかったですが、いい診療科だと思いました。こんなことを言うのも何なんですが、やはりQOLが高い診療科の先生方は心に余裕があるので優しく色々教えてくれるのです。
これは文句になりますがQOLの診療科がお金も稼ぎやすいとなればそう言う診療科に集まってしまうのは仕方のないことです。女子受験生を差別するのではなく仕組みを変えていかないと医療の診療科の偏在もなくならないでしょう。
これから医師になる人はおすすめと言うわけではないですが一つの参考にして頂ければ幸いです。他にも外科系の人気診療科の整形外科について書いた記事もあるので参考にして頂ければと思います。