東京医科大学や福岡大学で女子受験者や多浪生が不利な扱いを受けたということで問題になりました。私の医学部生としてのこの問題に対する考えを書いていこうと思います。
日本の医療の質は世界195か国中で11位と世界的にも高いと言われています。しかし日本の医師の人数は世界的にも見てかなり少ないのです。
少数の医師で質の高い医療をできているというのは現役のお医者さんがどれだけ頑張っているのかと言うことを表しているのです。実際ポリクリ(病院実習)で病院に行かせてもらうと病院にもよりますが、大変な仕事だと感じます。つまり、今だに医師の世界は人手不足であるのが現状なのです。
だからこそ、医学部は若く、就業率の高い現役男子学生を取りたがる。それ自体は当然のことなのです。
どうしても、女性は出産、育児の時期には仕事を休まざる負えないため最も元気な時期である20代から30代までに休む医師も多いのだ。また、診療科によって仕事と家庭の両立がしやすい科とそうではない科があるために皮膚科や眼科などの比較的QOLの高いと言われる診療科では女性率がとても高くなるのだ。
こう言うことを書いていると日本では家庭のことを女性に任せすぎと言う意見を受けることもあるが、私個人の意見を言えばそれも仕方がない部分があると思います。なぜならサザエさんというアニメが日本では昔から誰でも知っている人気番組で、今でも当然のように男性が仕事に行って、家庭のことを女性がやっているのだ。日本はそういう文化だと思うのが日本で生きてきた人にとっては普通のことなのだ。
こういうとまた国際社会なのだから考えを変えなければならないと言われるかもしれない。しかし、日本の女性の中には実際今でも専業主婦になって旦那さんを家庭で支えたいという人が大勢いるのも事実なのである。私は医学部の女性の知り合いが大勢いるが、医師になって週3くらいだけ仕事したいとか、そもそも専業主婦になりたいと言っている女子も結構いるのもまた事実なのだ。
ただし、実際に平等だと信じて浪人している学生にとってはテストを受けて合格点に達しているのに落ちるということになったら自分でも憤りを感じると思う。だからこそ難しい問題だと思う。
解決策というほどでもないが、一つ京大に通っているからこそわかることを書いておこう。京大医学部は毎年約110人合格する。ではそのうちの女子が何人くらいなのか知っているだろうか。2019年入学の女子はなんと15人にも満たない。2019年は特に人数が少ないが基本的に多くても25人には満たない。
また、浪人生がどれくらいいるかということだが、これは感覚だが少なくとも現役生が最も多い多いし、浪人生と言ってもほとんど1浪、たまに2浪、そして数人それ以上か再受験という感じであろうか。
つまり不正な入試なんてするまでもなく女子は全然入ってきてくれないし、多浪生も入れないのである。この理由はもちろん京大の入試にあります。京大に限らず、東大や阪大の医学部でも大体同じような状況だとは思うが、僕が働いていた塾で上位の成績を取っているのはどうしても男子学生が多い。もちろん成績のいい女子もいるのだが何故かその割合はすごく低い。今の日本の受験制度では医学部は理系なので数学や理科が大事になってきて、特に数学が出来る人は男子が多いからなのかなということだ。
国試の合格率は実は男子より女子の方が高い。CBTの成績でも好成績を取っている人は女性が多いのだ。こういうしっかり勉強して取り組むようなテストは男子より女子の方がよくできる。また国試の合格率は約90%と言われるが、浪人生になると極端に合格率は下がる。
何が言いたいかというと受験の内容次第で男性と女性の割合も浪人生の割合もある程度コントロールできると思います。(まあ現実的にテストを作る立場になると難しいのかもしれないが)だからこそ、大学は不正入試という形ではなく、テストの内容で合格者をコントロールして欲しいと思っています。