こんにちは、本日は2014年京大数学の文理共通問題の解説をしたいと思います。問題は以下の通りです。
自然数\(a,b\)はどちらも3で割り切れないが、\(a^3+b^3\)は81で割り切れる。このような\(a,b\)の組\((a,b)\)のうち,\(a^2+b^2\)の値を最小にするものとその時の\(a^2+b^2\)の値を求めよ
今から解説していきますが一度自分ならどんなことを考えるのかっていうのを考えてみてください。
考える手順
基本的な問題を解く手順は以下のようになります。
情報整理→気づくべきことに気づく→正確に計算処理をする
これはこの問題に限ったことではありません。これからこの順番で話していきますので自分がどこまで出来ているのかってことを確認してください。
自分がつまずいたポイントを考えてそれを克服するためにはどう言う勉強をしていくのかって言うのを考えるようにしましょう。
情報処理
簡単にできる変形はする
まず気づいて欲しいことは\(a^3+b^3\)は因数分解できることです。
とにかくこの事実にまず気づいて欲しいと思います。なぜなら\(a^3+b^3\)と言うように足し算の状態で81の倍数と言われても何の情報にもならないが、
\(a^3+b^3=(a+b)(a^2-ab+b^2)\)
とすることでかけ算の状態になるので情報量が増えるからです。
もう1つ\(a^3+b^3\)には変形があります。
\(a^3+b^3=(a+b)^3-3ab(a+b)\)
\(a^3+b^3\)の変形としてはこのように因数分解の形とこの変形は両方非常によく使うので、すぐ両方考えられるようにしましょう。
最初の段階ではこの問題でどちらの変形を使うのかわからなくても問題ありません。
ただし、積の形にすると情報量が増えるってことは意識しましょう。
81の倍数は分かりづらいのでとりあえずmod3で考えてみる
これも結構大事な考え方で、誰も81の倍数の知識などありません。なのでいきなり81の倍数と考えるのでなく\(a^3+b^3\)が3の倍数になるための\(a,b\)の条件は何なんだろうくらい考えて欲しいです。
\(a\equiv1(mod3)\)の時、\(a^3\equiv1(mod3)\)
\(a\equiv2(mod3)\)の時、\(a^3\equiv8\equiv2(mod3)\)
\(b\)についても同様なので、\(a^3+b^3\)が3の倍数になると言うことは
\(a\equiv1,b\equiv2(mod3)\)または\(a\equiv2,b\equiv1(mod3)\)と言うことがわかるのです。
これまでの情報を用いて問題を言い換える
ここまでで\(a+b\)が3の倍数であることはわかります。
このように問題を見た時にできる限り情報量を引き出すってことがまずは大事です。そのあとは、この情報をどのように使うのかってことを考えます。
\(a+b\)が3の倍数であることからまずは\(a+b\)をひとまとまりで考えます。そのために式変形をして\(a+b\)をできる限り作ってみます。
\(a^3+b^3=(a+b)(a^2-ab+b^2)=(a+b)\{(a+b)^2-3ab\}\)
ここで考えて欲しいのは\(a+b\)が3の倍数である時に\((a+b)^2-3ab\)はどんな数字かってことかです。
すぐにわかると思いますが、\((a+b)^2\)も\(3ab\)も3の倍数なので、少なくとも\((a+b)^2-3ab\)も3の倍数であることがわかります。
気づくべきことに気づく
ここまでの情報処理については出来る人が多いんじゃないかと思います。
逆にここまでのことも考えられないのは考えられていない人はまずはここまで考えられるように、こう言う考え方をするってことをよく覚えといてください。
ただ、ここまでのことがわかったとしても実はなかなか得点にはつながりません。
なぜならここまでしてきたことはただ問題の条件を言い換えてきただけだからです。問題の条件を言い換えるだけでは実はほとんど部分点をもらえないのです。
だからこそ、ここからどうやって解答に近づいていくかが直接的に合否に直結してきます。
\(a+b\)が何の倍数かを考える
\(a^3+b^3=(a+b)\{(a+b)^2-3ab\}\)
今までの情報から\(a+b\)と\((a+b)^2-3ab\)は共に3の倍数であることはわかりました。つまり、その積は少なくとも9の倍数であることはわかっています。ただ81の倍数になるためにはあと\(3^2\)不足しているのです。
その不足分は\(a+b\)と\((a+b)^2-3ab\)のいずれかで補填しなければなりません。つまり\(a+b\)と\((a+b)^2-3ab\)が9の倍数になることを考えなければならないのです。
\((a+b)^2-3ab\)が9の倍数にはなり得ないことに気づく
ここが最大のポイントです。
この事実に気づくことができるかがこの問題の全てです。
\((a+b)^2\)は3の倍数の2畳なので少なくとも9の倍数になります。それに対して\(3ab\)は\(a\)も\(b\)も3の倍数では無いので9の倍数では無いのです。
9の倍数から9の倍数では無い数字を引くともちろん9の倍数にはなりません。
だから\((a+b)^2-3ab\)は9の倍数にはならないのです。
\(a^3+b^3=(a+b)\{(a+b)^2-3ab\}\)
であって\((a+b)^2-3ab\)は9の倍数では無いので、結局\(a+b\)が27の倍数であることが問題の条件を満たすための必要十分な条件になるのです。
正確に計算処理をする
ここまで出来たなら後は答えを求めるだけです。この段階を出来ないのは非常に勿体無いので、ミスがないように細心の注意を払いましょう。
問題を言い換えると\(a+b\)が27の倍数である時に\(a^2+b^2\)はいつ最小になるんですかってことです。
感覚的に答えを求める
感覚的に答えがわかることは結構大事です。\(a^2+b^2\)が最小になるのは\(a+b=27\)の時だろうなってわかるでしょう。
またこれも感覚的なことですが、\(a\)と\(b\)が近い数字の方が\(a^2+b^2\)は小さくなりそうだなってことです。
つまり答えは\((a,b)=(13,14),(14,13)\)だろうなって言うことがこの段階で予想できるのです。
なので後はこの感覚をある程度ちゃんとした説明にすればいいのです。
模範解答にはきっちりした解答が書いてあると思います。しかし、この部分はどれだけ泥臭くても下手でも何でもいいので間違わずに説明することが出来ていれば何の問題もありません。
だから自分が今まで学んできたことをうまく使って何とか説明しようってのを頑張るようにしましょう。
説明例
\(a+b=27\)の時、
\(a^2+b^2=(a+b)^2-2ab=27^2-2a(27-a)=2a^2-54a+27^2\)
2次関数にしてグラフを書いて、\((a,b)=(13,14),(14,13)\)の時に最小と言いましょう。
2次関数にしてグラフを書くことはすごく大事です。グラフを書くだけで、何となくがちゃんとした説明に早変わりするのです。
これだけでは\(a+b\geq54\)の場合に触れられていないので、これを除外しなければなりません。
仮に\(a\geq b\)とすると\(2a\geq a+b \geq 54\)なので\(a\geq 27\)
そうなると\(a^2+b^2\geq a^2\geq 27^2\)
となりもちろん\(a\leq b\)の時も同様なので、少なくとももっと大きくなることがわかります。
以上から\((a,b)=(13,14),(14,13)\)の時に最小になることがわかりました。
まとめ
ここまで説明してきました。ここまでの考え方ができるようになった上で自分で何も見ずに解答を作ってみましょう。それで正しく解答を作れるようになれば勉強になると思います。一応模範解答を書いたリンクを載せときますが、模範解答を真似る必要は全くありません。
模範解答自分で考えて自分なりの正しい解答を作れるようになることこそが思考力をつける近道です。
これからもいろんな問題の考え方を公開していきますのでツイッターのフォローをお願いします。