昨日糖尿病内科が人気の理由という記事を書きましたが、本日は外科系の中の人気診療科である整形外科について書いていこうと思います。
整形外科と一般外科の違い
あまり医療に詳しくないと整形外科も外科の1つでしょくらいに思われている方もいるのではないかと思います。しかし、厳密には整形外科は外科には含まれません。
整形外科はもちろん外科系診療科の一つではあるのですが、骨や筋肉などを扱う診療科です。専門医の資格としても外科という専門医と整形外科の専門医は全く別にあります。同様に脳神経外科や形成外科に関しても外科とは別の専門医資格があります。
メモ
外科に含まれる診療科
- 消化管外科,、肝胆膵外科
- 呼吸器外科
- 心臓血管外科
- 乳腺外科、内分泌外科
ここで今医療界で抱えている問題の1つが外科医不足です。これの意味しているのは整形外科不足というわけではありません。(整形外科も需要は高まっていますが整形外科医は増えています)
実際外科に進む専攻医が少ないという問題が今起きているのです。その理由は1つではないのですが、2つ簡単に理由を書いておくと
- QOLが低い&そのせいでバイトしづらく給料も低い
- 新専門医制度で専攻医の間に自分の進みたい外科以外も回らないといけなくなった(呼吸器外科に行きたくても消化器外科を回るなど)
以前は外科は直接的に癌を切るなど医療の花形であったためそれなりに人気もあったのですが、そもそも薬や放射線治療の発達により手術が癌治療の中心ではなくなってきたというのもあるかもしれません。
今回は整形外科の話なので外科の話はこれくらいにしておいて整形外科の話をしていこうと思います。
整形外科は儲かる診療科?
一言に儲かると言っても開業すれば儲かるとか大病院でも儲かるとか医者の給料がいいのかなど色々あります。整形外科は儲かる診療科だと言われることが多いですが、ある意味では先ほどの全てを満たす診療科と言えるでしょう。だから今回は、開業医、大病院、勤務医の給料に分けて整形外科が儲かる理由を書いていきます。
開業医の整形外科が儲かる理由
整形外科は大学の講義や実習などではマイナー科に分類されすごく軽視されています。しかし実は整形外科というのは保険診療の中では現状一番というほど稼ぎやすい分野なのです。
そもそも大学病院の授業や実習などの多くが癌関係の授業が多かったりしますが、実は単独の診療科として患者数が最も多いのは整形外科と言えるのではないかと思います。(内科と言っても循環器内科、消化器内科などに分かれるから)
患者数が多いだけでなくリウマチを専門にして幅広い痛みに対応することが出来れば重宝されます。さらには整形外科、リハビリクリニックというのが世の中には多くてこれに関しても診療報酬的に優遇されているため稼ぎやすいのです。
メモ
整形外科の開業が儲かる理由
- 圧倒的な患者数
- 今でもMRIなしでレントゲンだけどんどん撮影することで開業資金も抑えて儲かりやすい
- 利益の出やすい注射治療もある
大病院の整形外科で病院が儲かる理由
大病院の整形外科というのは診療科の中でも稼ぎ頭なのです。学生の間とかだと普通の人はあまり病院経営とか考えていないかもしれませんが、実は診療科ごとに黒字の診療科と赤字の診療科があります。
簡単に説明するとよく言われる赤字になりやすい診療科というのが小児科、産婦人科、総合内科などが例に挙げられます。
簡単にいうと手術をしない入院を必要とする診療科というのはそもそも診療点数的に不利なのです。なぜなら現状ある病気で入院したらいくらまでとれるというようなことが決まっているのです。つまりもしそれ以上に入院が必要になったり、追加の検査などが必要になったりすると病院の持ち出しになりお金を払ってもらえないというようなことが起きるのです。産婦人科は患者がいくら少なくても子供をいつでも埋める体制を整えておくことにお金がかかるのです。
それに対して黒字になりやすい診療科というのが眼科や整形外科と言われます。
眼科や整形外科は手術があまり長時間にはならないため1日のうちに多くの件数の手術をこなすことが出来ます。手術をすると病院は儲かるのです。特に高齢化が進むことにより、眼科では白内障手術、整形外科では人工関節の手術などが非常に増えています。
そのため働いている側は特に整形外科は手術の件数も多く忙しいですが病院としては利益がたくさんでるのです。
勤務医の整形外科医が高年収である理由
大病院の勤務医は診療科によってそこまで年収が異なるわけではありません。にも関わらず整形外科は高収入であることが多いのです。
メモ
整形外科が高収入である理由
- 夜の緊急が少ない
- 割りのいいバイト先が多い
整形外科は基本的には予定された手術をする診療科なので、大きな外傷が運ばれてくるような病院でない限りは夜の緊急は少ないのです。そのため休みの日にはしっかりと休めるためバイトに行きやすい診療科なのです。
さらにそのバイト先に関しても整形外科は豊富にあります。なぜならどこの病院でも整形外科の患者数は増えているため外来のバイト、そして骨折などの患者が運ばれてきた時に対応するための外科当直バイトというようなものもあり、需要が高く病院も儲かりやすいので割りのいいバイト先が多いのです。
メモ
バイトの給料のいい診療科Top3
- 麻酔科
- 産婦人科
- 整形外科
さらに常勤でも田舎に行けば年収3000万というような求人があったりします。
整形外科の中でも例えば脊椎の分野は難易度の高い手術も多いため、技術さえあれば常勤でも破格の収入の求人があったりするのです。
整形外科のデメリット
- 患者数が多く忙しい
- 外科系は全体的に朝が早い(手術の前にカンファなどがある)
- 内科系の医者っぽいことがわからなくなる
まとめ
以上のように整形外科という診療科は開業しても勤務医に関しても高収入であると言えるのはないでしょうか。そのためフリーランスで働く整形外科医もいたりしますし、大きな病院の中でも整形外科医はモテるとよく言われます。
今診療科を迷っている医学生であれば、開業医、勤務医どちらにしても好条件の整形外科は選択肢の1つになるのではないでしょうか。